Program & Tickets

プログラム/チケット情報

公演バナー

プログラム

  • ハイドン:交響曲 第39番 ト短調 Hob.I:39
  • ハイドン:ヴァイオリン協奏曲 第3番「メルク協奏曲」 イ長調 Hob.VIIa:3〈ヴァイオリン:諏訪内晶子〉
  • ***
  • アルヴォ・ペルト:フラトレス〈ヴァイオリン:諏訪内晶子〉
  • モーツァルト:交響曲第40番 ト短調 K.550

チケット

  • ジャパン・アーツぴあオンラインチケット:

    2025年9月6日(土)10:00~

  • 一般発売:

    2025年9月13日(土)10:00~

公演紹介

 諏訪内晶子が主宰するこの恒例のフェスティヴァル「国際音楽祭NIPPON」の魅力のひとつは、もちろん彼女の演奏が全体の核になるということでもあるが、更なる魅力は、諏訪内が古典作品と現代作品の双方に鮮やかな快演を聴かせてくれるというところにもあろう。
 この2月11日の横浜での演奏会でも、彼女はウィーン古典派の大作曲家ハイドンのヴァイオリン協奏曲第3番と、エストニア出身の現代作曲家アルヴォ・ペルトの作品を弾く。ハイドンの《3番》は「メルク協奏曲」と呼ばれることが多いが、これは第2次世界大戦後になってオーストリアのメルク僧院で筆写譜が発見されたことによるもので、作品自体とは直接関係のないニックネームである。いかにもハイドンらしい、端整ながら闊達な曲想を持つ協奏曲だ。
 一方、ペルトの《フラトレス》は、こちらは正式な題名で、「兄弟」とか「同志」というほどの意味をもつ。作曲者自身がさまざまな楽器に編曲しているが、今回はヴァイオリン・ソロと弦楽器群と打楽器による版で演奏される。激しい曲想と神秘的な曲想とが組み合わされる作品で、一種の凄味を感じさせるだろう。――この対照的な2曲を弾き分ける諏訪内晶子の演奏が、最大の聴きどころである。
 なお、この《フラトレス》という曲は、聴き方にもよるけれど、そのあとに続いて演奏されるモーツァルトのト短調交響曲《第40番》の曲想と、なにか一脈通じるイメージを呼び起こすのではなかろうか?この交響曲も、哀しさと激情とが交錯する、一度聴いたら忘れられないほどの感動的な名曲なのだ。
そしてまたこれは、プログラム冒頭にあるハイドンの《第39番》という同じト短調の交響曲と、絶妙な対比を示す。ハイドンの中期の交響曲の中にこんな素晴らしい作品があるのか、と今更のように驚かされるほど魅力的な曲である。おなじみサッシャ・ゲッツェルの鋭く切れのいい指揮と、白井圭率いる内外の選りすぐりの奏者たちの演奏で聴くと、この2つの「ト短調」はいっそう鮮烈なものに感じられるに違いない。なんとも絶妙なプログラム構成である。

東条碩夫(音楽評論)

チラシはこちら

top